「父の日」
しかし まぁ 何やねぇ~
摩訶不思議な事に店のエアコンの件はメーカーでも原因不明で、もう一度同じ現象が起これば機械ごと交換らしい。
どうも科学的には解明できないようで、陰陽師の世界かもしれない。
さて今日は父の日、夕方から娘が来ると言うのでそれまでに掃除、洗濯~
父の日なのだが家元にすでに父は居ない。家元が学生時代にかき消すように他界した。
一度でいいから成人となったときに一緒に酒でも酌み交わし、しかし まぁ 何やねぇ~と話をしたかった思いから影酒を
一緒に飲むことにしている。
二つのグラスに酒を注ぎ、亡き父と会話をする。
家元は父親に対する記憶があまり無い。と言うのも家に居る事が珍しい父だったし、諸般の事情で物心付くまでは他家で育った
ので思い出す事と言えば水にうるさく、クルマ好きで模型好きで女好き・・・そんな印象しか無い。
水にうるさいのは戦時中に潜水艦の仕官をしていた事が職業病となり、あらゆる蛇口やバルブの水漏れに対して異常なほど
反応するパブロフ化になったようだ。潜水艦ではちょっとした水漏れでも生死を別ける重大な事になるからだ。
常に蛇口やシンク、とりあえず水周りは一滴の水も残さずに拭いておかなければ落ち着かない、今で言えばPTSDだったと思う。
家にはあまり帰らずに、帰ってきた時にはヘロヘロの飲酒運転状態~夜中の何時であろうが家族全員を起こし集合させ
訓話のような事を語り、以上と言う最後の号令で開放される・・・
家以外には何処に居るのかと言うと、何軒も別宅がありそこを巡回していたと言うタフな男だったが、最後を迎える時は
自宅だった事も意味深いし別宅ならば少し騒ぎにもなったかも知れない。
今なら是非何軒もの別宅を管理する技術を教授してもらいたいと思うのだが、思春期のころには何ちゅう男や!母親が
可愛そうやないかと反発していたが、母は特別その事を子供たちにグチる事もなかったし盆暮れ正月には別宅に付届けを
していたようだ。今で言うと浮気相手の家にご丁寧にも挨拶に伺うようなものだ。
そんなある夜、泥酔飲酒運転で帰宅した父に家元は一方的に切れてしまい暴力を振るってしまった。父親を殴ったのだ。
剣道柔術の覚えのある父だがまったく抵抗せずに数秒間だが家元に討たれた。
泣きながら家を飛び出し近くの小学校の校庭で自分の犯した事の浅はかさに嗚咽をしながら号泣し続けた。
少なくとも親に手を上げるなど・・・今思っても恥ずかしい限りだ。
その数日後、めったに無い素面の父が帰宅した時に謝罪した。本当に心から申し訳ないと謝ったら、父はそれ位の歳には
男の子はそうやないといかん!お前のパンチはまだ甘い~しょうむ無い事を気にするよりオレに勝つ男になれ!
そう言ってくれた。 その10日後に父は帰らぬ人となった~
本当は父のことは大好きな男だったのだが、それが口には出せなかった~せめた謝罪できた事でも家元にはあり難い事だ。
謝罪も出来ずに逝かれれば家元の後悔は計り知れない。
その父が生前に良く言っていた・・・想いは人に伝えねばならないが、揺れ動く感情は人に伝えてはいけないと・・・
そんな事もあり家元は、好きという想いは人に伝える事にしている~明日死ぬかもしれない儚い命に想いを伝える事の大切さを
知ったからだ。
影酒をしながら亡き父に「大好きやったで!」と言うが生きている内に言いたかった・・・・
その分、まだ元気な母には生まれ変わるとしたら今度もお母さんの子供でいたいと言っている~
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